「日本型教育の海外展開」キックオフシンポジウム概要を公開しました

2016年09月09日

8月2日(火)文部科学省にて、「日本型教育の海外展開キックオフシンポジウム」が開催されました。

本シンポジウムは、文部科学省のほか、外務省、経済産業省、国際協力機構、日本貿易振興機構などの関係省庁、政府系機関、及び、教育関連の民間企業等から構成される「日本型教育の官民協働プラットフォーム」の立ち上げのキックオフイベントであり、ご関心のある教育機関・企業などから多数のご参加をいただきました。
開会にあたり、文部科学大臣補佐官である鈴木寛氏よりご挨拶をいただき、本海外展開推進事業の背景と概要についてご講演いただきました。続いて、関係省庁・政府系機関の皆様より、世界の教育の課題と日本型教育への期待や、海外展開に向けた関係省庁・政府系機関による協力体制をご紹介いただきました。
また、すでに教育関連分野において海外事業を展開されている企業の皆様にご登壇いただき、具体的事例を通して日本型教育の強みや日本型教育に対するニーズについてご講演いただきました。最後に、東京大学大学院教育研究科 北村友人氏に、日本型教育を海外展開する意義についてご講演いただき、閉会いたしました。
本シンポジウムには、300人以上の皆様にご来場をいただき、日本型教育の海外展開に対する高い関心を示すこととなりました。(以下の各登壇者の役職等は、シンポジウム開催時点のものです)

■ 開会挨拶

鈴木 寛 <文部科学大臣補佐官>

● 鈴木寛文部科学大臣補佐官より、以下のとおり本事業の趣旨・背景を踏まえた開会の挨拶がありました。

  • OECDの学力到達度調査において、最新のデータ(2012年)によると、34の加盟国中、日本の15歳が総合一位に返り咲いた。先般、G7教育大臣会合を日本で再開するイニシアティブを取れたのも、このような15歳の高い学力水準が背景にあると承知している。
  • 日本の特別活動についても高い関心が寄せられており、特に掃除については、どういう教育効果があるのか、エジプトの大統領が注目している。学力はもとより、協調性を養える日本の教育を自国にも展開したいと、我々が想像する以上に途上国の首脳、教育関係者が切望している。
  • 日本の高度経済成長を支える産業人材を輩出したとして、昨年、サマーダボスに出席した際にも、新興国の首脳等から高専について高い評価・要望をいただいた。教職員の8割が博士号を持っているほか、講義と実践のバランスの取れたカリキュラム・官民協働の授業が組まれているなど、高専の教育は本当にレベルが高く、卒業生に対し十倍、二十倍の求人倍率がある。モンゴルではリエゾンオフィスがすでに進出しており、タイ・ベトナム等の各国からも強い要望を受けている。
  • 高等教育についても、名古屋大学がサテライトで法律を学べるプログラムをベトナム・カンボジア・モンゴルに展開しているほか、筑波大学のチュニジアオフィス、立命館大学のインドオフィスなど、少しずつ取組が進んでいる。
  • このように、あらゆる分野において日本の教育への期待は大きいところであるが、役所だけでできることではなく、ノウハウを有しているのはむしろ現場である。また、一主体が単独で進出することも難しいため、世界に出ていくにあたっては、リスクや情報をシェアし官民一体となって推し進める必要がある。このような人づくりの取組を通じて、日本がソフトパワー立国として国際社会の中で名誉ある地位を占めるために、皆様の協力をいただきたい。

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■ 「日本型教育海外展開シンポジウム」講演概要

岡垣 さとみ <外務省国際協力局地球規模課題総括課 上席専門官>

  • 岡垣氏には、海外への教育支援における多様なパートナーとの連携の重要性と、実際の連携事例に関してお話をいただきました。
  • 日本における海外協力に対する動きの高まりや「持続可能な開発目標(SDGs)」及び「開発協力大綱」等を受けて、官民連携のモデルケースを確立することの重要性をご提示いただきました。

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石原 伸一 <独立行政法人国際協力機構 人間開発部次長>

  • 石原氏には、各国の教育の課題と、JICAが果たすべき役割についてご説明いただくとともに、日本の教育産業が持つ知見や経験を活用することが必要であるとのお話をいただきました。
  • また、JICAの立場から、民間企業の海外展開への支援及び協力実績についてご説明いただき、多様な参加者を結びつける官民協力プラットフォームへの期待についてお話をいただきました。

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河田 美緒 <経済産業省商務情報政策局サービス政策課海外展開支援室 室長>

  • 河田氏にはサービス産業のグローバル化を背景とした、海外展開支援事業の現状と展望に関してお話をいただきました。
  • 教育産業の海外展開には、各国・地域の文化的及び制度的な違いによる教育環境の相違に加え、外資規制等の問題も存在するため、海外における事業展開のための環境整備や企業進出のための支援の必要があることをご説明いただきました。

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北川 浩伸 <独立行政法人日本貿易振興機構 サービス産業部長>

  • 北川氏には、日本のサービス産業の海外展開の可能性についてお話をいただきました。
  • 特に、教育事業を海外展開されている企業の先進事例や、JETROが提供するサービス産業輸出支援サービス等をご紹介いただきました。

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玉置 知己 <アジア開発銀行駐日代表事務所 駐日代表>

  • 玉置氏にはアジア開発銀行の教育セクターでの取組に基づいた、官民協働プラットフォームへの協力の可能性についてお話をいただきました。
  • 具体的には、「知の分野での協力」、文部科学省からの講師の派遣等の「技術協力」、「日本のODAへの協調融資」でのご協力の可能性をご提示いただきました。

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■ 取組事例紹介

谷口 功 <独立行政法人国立高等専門学校機構 理事長>

  • 谷口氏には高等専門学校教育モデルの海外展開について、タイやモンゴル等の事例を交えてご紹介いただきました。
  • 高等専門学校教育を各国に導入する際には、その国の教育制度と調和する必要があることや、学生・連携国・企業・高等専門学校等の発展及び成長に寄与するような海外展開のモデルをご提示いただきました。

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香西 武 <鳴門教育大学 副学長(国際交流担当)>

  • 香西氏には、鳴門教育大学においてJICAとの協力の下で実施されている国際教育支援について、その実施概要を具体的にご説明いただきました。
  • 日本型教育の海外展開に関する豊富なご経験を基に、日本型教育の強みについて多面的にご説明いただきました。

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麻生 健 <学校法人麻生塾 理事長>

  • 麻生氏には麻生塾のインドネシア(BASE)事業概要と、この海外展開において直面した課題や気づき、さらに今後の可能性についてご説明いただきました。
  • 海外展開に伴う課題のご紹介を通じて、今後海外展開の推進を検討している団体や法人に対して重要なご示唆をいただきました。

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礒津 政明 <株式会社ソニー・グローバルエデュケーション 代表取締役社長>

  • 礒津氏には、日本型算数・思考力教育を基にした算数・思考力コンテストである「世界算数」の展開について、その反響及び利用者の感想をご紹介いただきました。
  • 日本型算数はプログラミング的思考の非常に似通った思考経路をとるため、世界中で高く評価される教育コンテンツであるとご説明いただきました。

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北尾 健一 <株式会社公文教育研究会 取締役副社長 海外教室事業・経営統括管掌>

  • 北尾氏には、公文式学習を世界的に展開したご経験から、日本型教育に関する考察に関してお話をいただきました。
  • 可視化しやすい成績だけでなく、処理力や思考力、根気強さ等のプロセスを重視することこそが日本型教育の特長であるとご説明いただきました。

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■ 日本型教育への期待

北村 友人 <東京大学大学院教育研究科 准教授>

  • 北村氏には、日本型教育が様々な特長を持っている点を総括いただくとともに、海外展開が自国での教育活動を見つめなおす機会となり、自国の教育改善にも有用である旨をお話しいただきました。
  • また、日本型教育の海外展開について、現在存在しているニーズを分析いただくとともに、さらなるニーズの創出の必要性についてもご示唆いただきました。

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■ 官民協働プラットフォームの今後の進め方について

小林 洋介 <文部科学省大臣官房国際課 国際戦略企画室長>

  • 最後に、「官民連携プラットフォーム」事業について、今後、有識者会議(ステアリングコミッティ)を開催し、事業の方向性を議論すること、また、国別分科会や国際フォーラムにより、ニーズ・協力可能性の掘り下げ、マッチングの促進を図るとともに、いくつかのパイロット事業を支援していく旨の説明がありました。

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以上

© 文部科学省 日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)