モンゴルの教育行政関係者、教職員が日本を視察しました

令和5年9月9日~17日、モンゴル国教育科学省、教育総合庁、地方の教育科学局職員4名、公立学校教職員5名の計9名が、視察のため、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下、SCJ)のモンゴル駐在職員1名と共に来日しました。

EDU-Portニッポンでは、海外の教育関係者による日本の学校視察を支援する「スクールビジット」の一環としてSCJが実施する日本視察に協力し、一部の学校訪問等の調整と、視察の同行を行いました。

SCJは平成30年からモンゴルでインクルーシブ教育推進事業を実施しており、令和3年までは小学校を対象に、教職員の研修や学習環境の整備、啓発活動などを通し、障害や貧困、言語の違いなどにかかわらず、全ての子どもたちが質の高い教育を受けることを目的としたインクルーシブ教育を推進してきました。令和3年からの3年間は、この取組の対象を中学校へと拡大し、特別な教育的ニーズのある子どもたちが、中学校進学にあたり学習面でも心理面でも支援を受けることができるよう、教職員や保護者に対する研修を実施しています。本スタディーツアーは同事業の活動の一つとして実施されました。

9月11日には平成28年から神奈川県のインクルーシブ教育実践推進校として活動する県立厚木西高等学校を視察しました。初めに、澤田裕校長が厚木西高等学校の概要及びインクルーシブ教育実践推進校としての取組について、担当者より同校のインクルーシブ教育の実施状況について説明がありました。その後、授業及びリソースルーム等を視察しました。神奈川県教育委員会インクルーシブ教育推進課を交えての質疑応答の時間には、視察者から、ティームティーチング、教員研修、保護者との相互理解の形成等について、多くの質問が寄せられました。

9月12日には茅ヶ崎市立第一中学校を視察しました。同校は昭和39年以来長年にわたり、茅ヶ崎市の特別支援教育を担ってきた学校です。平成27年度から30年度までの4年間、神奈川県教育委員会より「みんなの教室」モデル校(注1)の指定を受け、学校を挙げてインクルーシブ教育を推進してきました。原田和子校長からこうした説明を受けた後、校長の案内で授業や「ほっとルーム」(注2)などを視察しました。その後の質疑応答では、校内支援体制、教員研修、生徒の評価、卒業後の進路など、様々な質問が出されました。

モンゴルでは今年7月に「教育一般法」及び「就学前及び一般教育法」が改正され、インクルーシブ教育に係る条文が多く盛り込まれました。今後の教育制度や教育現場の改善の参考にすべく、視察者は大変熱心な様子でした。視察後には、「学習環境にユニバーサルデザインを取り入れることで、通常学級におけるインクルーシブ教育を実現している両校の取り組みから多くを学ぶことができました」「モンゴルの学校でも実施できそうなアイディアをたくさん得ることができました」「今回学んだことをモンゴルの環境に合わせて実践するとともに、広めていきたいと思います」という声が寄せられました。

(注1)通常の学級・特別支援学級等の在籍学級にかかわらず、すべての子どもを学校全体で支え、できるだけ同じ場で共に学ぶことを追求する「多様で柔軟な支援体制づくり」を進める「みんなの教室」をモデル校に設置して実践研究。
(注2)学習に支援が必要な生徒の個別指導や、集団不適応・不登校の状態にある生徒が安心していられる場として利用されている「みんなの教室」。

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