◇海外展開を決めた背景
その想いから、大東幼稚園が海外展開の第一歩に選んだのは、多民族・多言語社会で教育熱の高いマレーシアでした。
半世紀以上にわたり大東幼稚園が日本で培ってきた「しつけ」「立腰(りつよう)教育(注1)」「フラッシュカード(注2)」「百玉そろばん(注3)」など独自の教育法は、子どもたちの自主性・協調性・情操・思考力・コミュニケーション力・夢を育む力を秘めています。アジアで日本式幼児教育への関心が高まる中で、治安が安定していること、ASEAN各国へアクセスが容易であることが、最初の舞台としてマレーシアを選ぶ決め手となりました。

◇現地での挑戦と工夫
それでも、マレーシアの子どもたちの「できた!」という笑顔が現地の先生方の心を動かし、自信と誇りを育みました。いつしか現場には「チーム」としての一体感が生まれ、挑戦は確かな手応えへと変わっていきました。

◇朝の活動の流れ
続くのは、フラッシュカード、発声練習、モーニングソング、日付確認、体幹あそび「力もち」(注4)、そろばんや時計の学習。
この流れは遊びと学びを自然に融合させ、子どもたちの集中力・表現力・協調性を育む基盤となっています。

◇日本とマレーシアの違い、そして融合
一方、大東幼稚園では、朝の会の前後を「立腰」「挨拶」「歌」「リズム運動」などに充てて心身を整えたうえで、文字や数の活動を子どもの発達段階や意欲に応じて、短時間かつ遊びの要素を取り入れながら計画的に行っています。
こうした日本式教育を導入したことで、保護者からは…
「家庭でも姿勢が良くなった」
「自分から元気な声で挨拶ができるようになった」
といった喜びの声が寄せられています。

◇手応えと成果
「Daito Method」によって、短期間で園児たちに大きな変化が見られました。
・背筋を正し、集中して取り組む姿
・大きな声で歌い、堂々と発表する姿
・先生の話を真剣に聞く姿
・数字や漢字への自然な好奇心
とくに「立腰」の効果は顕著で、集中力や礼儀正しさが育つ姿に、現地の先生方も驚きを隠せませんでした。
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時計を使った学び
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百玉そろばんを使った学び
◇EDU-Port認定の意義
他のプラットフォームメンバー機関とノウハウを学び合い、海外展開のリアルな知見を共有できることは、挑戦を加速させる大きな力です。
言葉や文化、教育制度の違いなど、現地で直面する課題も多くありましたが、他のプラットフォームメンバー機関の海外での具体的な実践事例は、大変参考になりました。
特に、「日本型教育をそのまま持ち込むのではなく、現地の文化や子どもたちの特性を尊重しながら融合させていく」という考え方は、実践事例を通して学んだ大切な視点です。
実際にマレーシア校の開園準備では、現地スタッフとの研修や教材づくりを重ねる中で、「しつけ」「立腰」「挨拶」などといった日本らしさを大切にしながら、多文化共生の保育へと発展させる工夫を続けています。
また、EDU-Portニッポンに参画している日本式体育教室プログラムと連携し、マレーシア校にも体育専門の先生を招いて、日本式の体育活動を導入しています。
日本ならではの「リズム」「姿勢」「協調性」を大切にした指導を通して、現地の子どもたちにも、体を動かす楽しさの中に「礼儀」や「仲間を思いやる心」を育む時間が生まれています。
「日本の教育を世界へ」という志を共にする仲間とつながれること、それは現場を支える大きな励みであり、保護者や教育関係者からの信頼を高める後押しとなっています。

幼児教育は、人間力の根っこを育てる営みです。
大東幼稚園が大切にしているのは、子どもたちが「学ぶことは楽しい」「やればできる」と心から感じ、自分の未来を切り開く力を身につけること。
マレーシアでの挑戦は、その第一歩にすぎません。
園舎で笑顔を見せる子どもたち一人ひとりが、その可能性を証明しています。
そしてその笑顔こそが、次なる挑戦へのエネルギーです。
私たちはこれからも「Daito Method(大東式)・日本式教育」を通じて、世界中の子どもたちに学びの喜びと未来の選択肢を届けてまいります。
マレーシアからアジアへ、そして世界へ!
【Daitoh preschool Malaysia branch school】
開園日:令和7年2月1日
在園児:5人、日本人2人
先生数:4人
日本からは短期で講師を派遣
(注1)立腰(りつよう)教育 〜心と体をひとつに整える時間〜
大東幼稚園の一日は「立腰」から始まります。背筋を伸ばし、腰骨を立て、静かに呼吸を整える。
このひとときは「心と体をひとつにする大切な時間」です。姿勢を正すことで心も整い、自然と集中力ややる気が生まれます。「静」から始まる朝が、その後の「動」を支える力になっています。
(注2)フラッシュカード 〜ことばと知識をリズムで楽しむ〜
カードをテンポよくめくりながら、言葉や知識をリズムにのせて楽しむ「フラッシュカード」。子どもたちは目を輝かせ、集中してカードを追いかけます。
遊びながら自然と語彙が増え、記憶力・集中力・理解力がぐんぐん育ちます。
テンポのあるリズミカルな学びが、子どもたちの「知りたい!」を刺激します。
(注3)百玉そろばん 〜数の世界を「見て」「唱えて」学ぶ〜
100個の玉を使って、数のしくみを体感する「百玉そろばん」。玉を動かしながら、数を数える・比べる・組み合わせるといった経験を通して、「数がわかる」だけでなく、「数が好きになる」心を育てます。目と耳を使う学びが、数の楽しさと考える力をぐんぐん伸ばします。
(注4)しゃがんで力をグッとためて……「よいしょ!」の掛け声で立ち上がり、続けて「今日も元気にがんばるぞー!」と言いながらリズムよくジャンプ!
最後はこぶしを高く掲げて、「オーッ!」と声をそろえます。
この“力もち”は、ただのジャンプではありません。
体幹や足腰の力を育てながら、ほんの数秒で心も体もシャキッと目覚める、まさに 「元気スイッチON!」 の瞬間です。
子どもたちは毎朝、笑顔とパワー全開で取り組み、リズム感・集中力・気持ちの切り替えを自然と身につけています。
「誰がいちばん元気だったかな?」「今日は〇〇さんが力もち賞!」そんな声が飛び交うたびに、子どもたちの笑顔と笑い声が園いっぱいに広がります。
笑顔と元気あふれる 「力もちタイム」 です