日本の絵本文化をベトナムへ 絵本作家を招いた交流イベントの実施(令和5年度 応援プロジェクト:株式会社学研ホールディングス)


会場は人気キャラクター『ぴよちゃん』一色に。多くの親子でにぎわった

株式会社学研ホールディングスでは令和5年度・6年度にEDU-Portニッポン採択の応援プロジェクト「デジタル媒体を取り入れた日本式読み聞かせ手法のベトナム展開可能性調査」を実施しました。ここでは同事業のその後の展開を紹介します。

1.2日間で約350名が来場 ホーチミンで作家を招いてイベントを開催

2026年8月8日(土)・9日(日)の8時から11時30分、Gakkenの人気絵本『ぴよちゃん』シリーズの作家・いりやまさとしさんを招いたイベントを、ホーチミン市で開催しました。本イベントは、株式会社学研ホールディングス、株式会社Gakken、および連結子会社であるベトナム教育出版大手・DTP Education Solutions(ベトナム・ホーチミン)が協働で実施しました。
世界累計1,100万部を突破した『ぴよちゃん』は、ベトナム語に翻訳され、すでに20タイトルが出版されています。イベントは、ベトナムの子どもたちへ日本の絵本文化の魅力をさらに届けることを目的に開催し、両日で計約350名の親子が来場しました。
本イベントの会場は、ホーチミン市総合科学図書館とホーチミン市立小児病院です。0〜3歳の未就学児とその保護者を主な対象としながら、一般の方々にもご来場いただきました。ベトナムでも親しまれている『ぴよちゃん』シリーズを通じて、絵本文化拡大の一端を担うイベントとなりました。


作家・いりやまさとしさんによるお絵かき実演。目の前で『ぴよちゃん』が描き上げられていく(ホーチミン市総合科学図書館)


いりやまさんの説明に合わせ、子どもたちも一緒にぴよちゃんをお絵描き

2.絵本文化の魅力発信の取組

当社は、令和5年度のEDU-Portニッポン応援プロジェクトに採択いただいたことで、ベトナムへ絵本文化を広める大きな契機を得ることができました。
ベトナムでは、就学準備として子どもを塾へ通わせる家庭も多く、そうした学びの機会は高所得者層に集まりやすいのが実情です。絵本読み聞かせによる学びの文化がより身近になっていくことで、所得にかかわらず、より多くの家庭で子どもたちが日常的に学びと出会うきっかけを育んでいけると考えています。
こうした思いのもと、幼稚園での読み聞かせ活動や園の先生たちを対象とするセミナーを通じて、日本式の読書(よみきかせ)文化の発信をしてきました。今回は、実際に翻訳出版している絵本の作家を招いて交流イベントを開催したことで、また新たな角度から保護者、子どもたちに絵本の楽しさを直接届けることができました。

3.絵本の世界を五感で感じられる場に

本イベントでは、作家であるいりやまさんご本人に来越いただきました。絵本の魅力、とりわけ日本の絵本が大切にしてきた温かな表現やイラスト、ストーリーの楽しさに、より深く親しんでもらうことを狙いとしました。会場では、いりやまさんのお絵かき実演やサイン会を中心に、自由に絵を描けるコーナー、ヤマハ・ミュージック・ベトナムご協力による音楽体験プログラム、ブロック遊びなど、五感で楽しめる参加型プログラムを多数展開しました。


ぴよちゃんやいりやまさんと一緒に音楽を楽しむステージも


サイン会では、絵本にその場でサインを。作家と直接ふれ合える貴重な機会となった

4.「目の前で感じる体験」が「読みたい!」につながる

イベント最大の見どころは、いりやまさんが子どもたちのすぐそばに座って「ぴよちゃん」を描き上げるお絵かき実演でした。真っ白な紙の上に瞬く間に「ぴよちゃん」が姿を現すと、子どもたちは目を輝かせ、身を乗り出して見入っていました。さらに、子どもたち自身がいりやまさんと一緒に「ぴよちゃん」を描く時間も設けられ、会場には思い思いに手を動かし、楽しむ子どもたちの姿があふれました。

  • 目を輝かせる子どもたち
  • 目を輝かせる子どもたち

画面の中で完結するデジタルの体験とは異なり、目の前で作家の手からキャラクターが生み出されていく、こうした「画面越しでは得られない驚きと感動」で、子どもたちの「絵本を読みたい」という意欲がごく自然に引き出されたように思います。

会場では、保護者と子どもが一緒にページをめくる姿が随所で見られました。同じ絵本に向き合う時間は、ぬくもりやふれあいを通じて親子の対話を深め、子どもの情操教育や情緒の安定にも良い効果をもたらします。デジタルコンテンツが生活に浸透する時代だからこそ、紙の絵本が育む想像力と、親子で読書を分かち合う喜びの価値を、あらためて実感いただける機会となりました。


親子で一緒に絵本をめくるひととき

5.絵本作家いりやまさとしさんからのコメント

今回初めてぴよちゃんを知った子もいたかもしれないですが、みんなが楽しそうに絵を描いたりしている姿を見てうれしかったです。こういうキャラクターのついたお話の絵本が初めてだったお子さんもいるかもしれませんが、今日をきっかけに、これからも絵本を読んでみてほしいなと思いました。

6. 絵本文化の輪を、さらに大きく ― 今後の展望

今回のイベントは、EDU-Portニッポンの応援プロジェクトで取り組んだ絵本文化発信の延長線上に位置づけられる新たな一歩です。今後はこの取組を足掛かりに、ベトナムにおける絵本文化のさらなる拡大を目指してまいります。『ぴよちゃん』にとどまらず、日本の優れた絵本作品をより多く現地へ届けるとともに、絵本を起点として、子ども向け読み物の翻訳出版や、キャラクター・学習コンテンツといった日本のIP(知的財産)をベトナムで展開する可能性へと発展させていく、こうした取組を通じ、日本とベトナムの子どもたちの豊かな学びと、両国の文化交流の一層の深まりに、これからも貢献してまいります。

『ぴよちゃん』シリーズと、作家・いりやまさとしさんについて

『ぴよちゃん』シリーズは、やわらかで優しいイラストと温かなストーリーで、赤ちゃんや幼児が初めて出会う絵本として20年以上にわたり愛されてきたベストセラー。ベトナムでは、DTP社によりすでに20タイトルが翻訳出版され、大型書店チェーンやECサイトなどでも広く取り扱われている。作家のいりやまさとしさんは1958年、東京都生まれ。『ぴよちゃん』シリーズのほか、『ダイナソーキッズ』『パンダたいそう』など数多くの作品を手がける、日本を代表する絵本作家のひとり。


いりやまさとしさん

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