1.事業実施の背景および目的
本校は、文部科学省「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」の指定を受け、ICTを活用した個別最適化学習および英語イマージョン教育(注)を、学校全体のカリキュラム・マネジメントの中核に位置づけた教育改革を進めてきた。本事業(令和7年度採択応援プロジェクト「英語イマージョン協働プロジェクト ―英語で学ぶ数学とプログラミングによる国際探究学習」)は、これまで校内で蓄積してきた教育実践を国際協働の枠組みの中で検証し、その成果と課題を明らかにするとともに、日本型教育モデルの国際的妥当性を検討することを目的として実施したものである。
グローバル化とデジタル化が同時進行する現代社会において、英語は教科として学ぶ対象にとどまらず、学習を媒介する共通言語として活用されることが求められている。また、数学的思考力およびプログラミング的思考力は、国や文化を超えて共有可能な基礎的リテラシーであり、これらを英語で学ぶことは、論理的思考力、表現力、異文化理解を同時に育成する上で有効であると考えられる。
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「EDU-Port ニッポン応援プロジェクト」プロジェクトメンバー
(注)英語イマージョン教育とは、英語以外の同じ母国語を持つ子どもたちが英語で学ぶ教育方法です。
2.事業概要および実施体制
本事業の主な目的は、①英語イマージョン授業の国際的実践、②オンラインによる国際遠隔協働モデルの構築、③生徒の論理的思考力・表現力・異文化理解の育成、④日本型カリキュラムおよび指導法の国際的発信と検証である。
連携校は、フィリピン共和国(マニラ首都圏およびカビテ州)に所在する中等教育機関2校、インド共和国(バンガロール近郊)に所在する中等教育機関1校である。各学校から合計21名の教員が協働してシラバスを設計し、オンラインによる事前協議および研修を複数回実施した。日本側は教材開発やICT環境・アプリケーションの品質管理、授業設計の枠組提示を担い、相手国側は現地の教育実態を踏まえた改善提案を行った。各校のプログラミング教育の特性を生かし、共通の到達目標と学習プロセスを整理することで、生徒が成果物を制作・発信できる授業設計を行い、最終発表会へとつなげた。
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英語×数学 プロジェクトメンバー -
英語×プログラミング プロジェクトメンバー
3.最終オンライン合同発表会の実施概要
当日は、同一時間帯に二つの授業を並行して実施した。一つは中学1年生による「英語×数学」、もう一つは高校1年生による「英語×プログラミング」である。いずれの授業においても、英語を共通言語とし、生徒が自ら考え、説明し、他国の生徒と対話する活動を中心に構成した。

「英語×数学」(中学1年)における実践と成果
日本側の発表は教科書内容を基盤とした構成であったが、ICTを活用した個別最適化学習が学校全体でシステムとして機能している点や、担任による学習進行支援の仕組みが高い評価を受けた。
図形の面積や体積を題材とした相互出題・検証を通して、数学的思考の普遍性と教育背景によるアプローチの差異を理解する機会となった。生徒からは、「自分の解き方を英語で説明することで、考えを整理できた」「同じ問題でも国によって説明の仕方が違うことが印象に残った」「どちらも正しいと分かり、数学が世界共通であることを実感した」といった感想が寄せられ、数学を共通言語として相互理解を深める学びが実現した。

「英語×プログラミング」(高校1年)における実践と成果
フィリピン側は、対話性の高いエンターテインメント型プログラムを提示し、本校は英語による学校案内を行う対話型プログラムを発表した。音声認識の精度といった課題に対しては、表現の整理やプログラム構成の工夫により対応したことを報告した。

4.成果および課題
本事業を通して、英語イマージョン授業、ICTを活用した個別最適化学習、教職協働による授業設計といった日本型教育モデルの有効性を、国際的文脈において検証することができた。
また、40代の情報科教員からは「英語でプログラムを説明し合う中で、生徒の論理的思考力と発信力の成長を実感できた」との声があり、40代の数学科教員からは「英語で数理的思考を説明する経験が、生徒の理解を一層深めた」との評価が得られた。
このように、若手教員にとって国際協働の経験は人材育成の観点からも大きな意義を持ち、教科横断的な協働体制の構築に寄与した。
一方で、生徒の背景知識の差や、評価方法のさらなる精緻化といった課題も明確となった。
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成果と課題を共有する国際協働授業の様子
5.今後の展開
今後は、教員の負担に十分配慮しつつ、持続可能な形で国際協働学習を発展させていく必要がある。本事業で得られた成果と課題を踏まえ、次年度以降の教育活動および学校運営の改善に生かしていく予定である。
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日本:神戸山手グローバル中学校高等学校「英語×プログラミング 発表生徒」 -
日本:神戸山手グローバル中学校高等学校 「英語×数学 発表生徒」
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フィリピン:San Beda University SHS Manila「英語×プログラミング 発表生徒」 -
フィリピン:Emus Christian School 「英語×プログラミング 発表生徒」
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インド:Sahyadri School「英語×プログラミング 発表生徒」







