国立大学法人琉球大学

5本の英語の論文を掲載しています。
①「アジア・アフリカにおける学校保健の持続的普及について」(和訳)
②「アジア太平洋地域における小児に対する新型コロナワクチン接種の緊急的ニーズに関する提言」(和訳)
③「リバースイノベーションと子供の人権」 (和訳)
④「包括的性教育の実施における教師の葛藤:質的システマティック・レビューおよびメタ・シンセシス(英語論文)」(和訳)
⑤「公立小中高等学校の教育カリキュラムを対象とした保健関連科目の内容分析:日本、インドネシア、フィリピン、グアム、ミクロネシア、マーシャル諸島、パラオ、フィジー」(和訳)

公募事業名令和3年度調査研究事業
採択事業名アジア太平洋島嶼のポストコロナの健康・安全な学校に関する研究
対象国フィリピン・インドネシア・ミクロネシア連邦・マーシャル諸島・パラオ・フィジー・トンガ・グアム(アメリカ)
論文 「アジア・アフリカにおける学校保健の持続的普及について」(和訳)
Perspectives of sustainable global school health promotion in Asia and Africa.
Kobayashi J, Takahashi K.
Pediatr Int. 2021 Sep;63(9):1009-1010. doi: 10.1111/ped.14867.
2021年9月掲載
特集「日本における学校保健の推進とアジア・アフリカへの貢献」では、さまざまなレッスンが紹介された。さらに、日本の学校保健の歴史的足跡についても学ぶことができ、また日本の学校保健が各国の学校保健分野での活動に影響を与えていることも知ることができた。この論説では、2つの論文を検討し、アジア、アフリカ、そして世界の中低所得国への持続的普及について教訓を抽出しようとするものである。
論文 「アジア太平洋地域における小児に対する新型コロナワクチン接種の緊急的ニーズに関する提言」(和訳)
Recommendations for the urgent need to vaccinate school-aged and adolescent children against COVID-19 in the Asia-Pacific region.
Kobayashi J, Takeuchi R, Shibuya F, Murata Y, Takahashi K.
Trop Med Health. 2021 Sep 16;49(1):74. doi: 10.1186/s41182-021-00365-5.
2021年9月掲載
西太平洋地域における青少年および学齢期の子どもに対するSARS-CoV-2感染予防接種プログラムの緊急拡大を提言する。2021年7月以降、この地域では子どものSARS-CoV-2感染が急増している。SARS-CoV-2 B.1.617.2(Delta)変異株により感染率が上昇する中、マスク着用やソーシャルディスタンスをとるといった現在の予防対策により、その拡大は効果的に抑制されている一方で、子どもたちの感染拡大を抑制するために、長期間の学校閉鎖の検討が進められている。しかし、学校閉鎖の長期化による悪影響は大きい。12歳以下の子供へのワクチン接種はまだ議論のあるところであるが、今から準備を進めておく必要がある。
論文 「リバースイノベーションと子供の人権」 (和訳)
“Reverse innovation” and “child rights” in further school health promotion.
Jun Kobayashi, Kenzo Takahashi
Pediatrics International, 2022 Jan;64(1):e15002. doi:10.1111/ped.15002. Epub 2021 Dec 21.
2022年1月掲載
今後の学校保健の国際的普及には、低中所得国の経験を、高所得国を含めて世界に還元させる「リバースイノベーション」と、子供の人権に配慮した普及を考える必要がある。インドネシアのいじめ対策や、ケニアの積極的な復学を促す政策は、日本の課題にも還元できるといえる。また1990年に発効された子供の権利条約に記載されたように、生きる、育つ、守られる、参加する権利があり、これらの鑑みた学校保健の普及が必要である。
論文 「包括的性教育の実施における教師の葛藤:質的システマティック・レビューおよびメタ・シンセシス(英語論文)」(和訳)
Teachers’ conflicts in implementing comprehensive sexuality education: a qualitative systematic review and meta-synthesis
Fumiko Shibuya, Crystal Amiel Estrada, Dian Puspita Sari, Rie Takeuchi, Hirono Sasaki, Cut Warnaini, Saki Kawamitsu, Hamsu Kadriyan & Jun Kobayashi
Tropical Medicine and Health volume 51, Article number: 18 (2023)
2023年3月
包括的性教育の実施時に教師が抱える葛藤の要因を明らかにし、世界的な知見を統合することを目的として実施した。システマティック・レビューの結果より、包括的性教育が世界的に推奨されているにもかかわらず、従来の性教育から包括的な性教育に統合されていないこと、および教師の役割が明確にされていないことが葛藤の要因として抽出された。さらに、メタ・シンセシスの結果はキリスト教の文化的背景を反映しており、今後はイスラム教をはじめとする異なる宗教地域での更なる研究の必要性が明らかになった。
論文 「公立小中高等学校の教育カリキュラムを対象とした保健関連科目の内容分析:日本、インドネシア、フィリピン、グアム、ミクロネシア、マーシャル諸島、パラオ、フィジー(英語論文)」(和訳)
Content analysis of health-related subjects in the K12 school curricula of Japan, Indonesia, Philippines, Guam, Micronesia, Marshall Islands, Palau, and Fiji
Akihiro Nishio, Fumiko Shibuya, Calvin S. de los Reyes, Crystal Amiel M. Estrada, Ernesto R. Gregorio Jr, Dian Puspita Sari, Cut Warnaini, Hamsu Kadriyan, Maria Sandra M. Cruz, Margaret Hattori-Uchima, Paul Dacanay, Rudelyn Dacanay, Hillia Langrine Enos, Tarmau Terry Ngirmang, Mohamed Khalif, Saula Golea Volavola, Sachi Tomokawa, Mika Kigawa & Jun Kobayashi
Tropical Medicine and Health volume 51, Article number: 19 (2023)
2023年3月
(i) 衛生、(ii) メンタルヘルス、(iii) 栄養と口腔保健、(iv) 持続可能な開発のための教育の4つのカテゴリーをもとに、8か国を対象としたカリキュラム調査を実施した。対象国の内容分析の統合結果より、カリキュラム編成の特徴は1)文化・道徳的規範に基づくアプローチ、および2)科学的な視点に基づくアプローチであることを明らかにした。更なる発展のためには、政策立案者は本調査結果を考慮し、どのアプローチを採用すべきかを検討し、カリキュラムを編成する必要性が示唆された。
本プロジェクトとも関連する論文が、学術出版社Wiley誌の2021年年間最多ダウンロード記事として表彰されました。ご関心のある方は以下のURLよりご覧ください。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/ped.14921

他の関連論文にご関心のある方は、以下URLよりご覧ください。
https://schoolhealth.asia/paper/

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担当者:小林 潤
メール:junkoba@med.u-ryukyu.ac.jp
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