令和8年3月5日、経済協力開発機構(OECD)教育・スキル局のパウロ・サンティアゴ政策助言・実施課長が、東京学芸大学附属大泉小学校(東京都練馬区)を訪問しました。文部科学省及びEDU-Port事務局は、日本の特色ある教育を海外に紹介する機会と捉え、事業の一環として大泉小学校の視察を調整しました。
OECD教育・スキル局は、教育政策やスキル開発に関する国際的な調査・分析を行う部局であり、政策助言・実施課は、加盟国及びパートナー国に対し、初等中等教育から高等教育まで幅広い教育政策に関してエビデンスに基づく政策提言を行っています。今回、来日したサンティアゴ課長は、OECD入局以来、教員政策、高等教育政策、教育における公平性、教育評価とアセスメント、学校教育における資源活用、教育財政など、多様な分野における国際比較レビューを担当してきました。日本の学校現場を視察するのは今回が初めてです。
学校到着後、青山直志校長と細井宏一副校長から学校の概要について説明を受けました。1938年に開校した同校は、国際バカロレア(IB)ワールドスクール(注1)及びユネスコスクール(注2)として認定されており、「体験的な学び・探究の学び・協働的な学び」と「心の教育・行事の充実」「確かな学力」を基盤として国際教育を推進しています。運動会や音楽会、臨海学校などの学校行事のほか、全校児童が一人一鉢の菊を栽培したり、5年生が自作のわらじを履いて箱根旧街道の石畳を歩く体験学習を行ったり、縦割り異学年グループ(生活団)での活動などを通じて、児童の主体性や協働性、社会性を育む教育を実践していることが紹介されました。
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大泉小学校前にて集合写真 -
青山校長のご挨拶
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細井副校長から学校の概要説明 -
学校の概要説明を聞くサンティアゴ課長
学校概要の説明後には、授業や校内の様子を視察しました。2年生の音楽(合唱や鍵盤ハーモニカ)や5年生の家庭科(食育)の授業を見学したほか、3年生の理科の授業では児童との会話を通じて、5年生の体育の授業では「テニピン(注3)」の体験を通じて、日本の学校教育が「知・徳・体」をバランスよく育むことを目指していることについて理解を深めました。
音楽の授業を視察する様子
理科の授業にて子どもたちとの会話
体育の授業を体験する様子
その後、2年生とともに給食を体験しました。日本の学校では児童自身が給食の配膳や後片付けを行います。また、食に関する知識と「食」を選択する力を養うとともに、食材の生産や調理に関わる方々、いただく命に感謝することを学ぶ食育が行われています。サンティアゴ課長も実際に配膳や片付けを体験するとともに栄養教諭に安全性を確保しながら児童の健康を支える学校給食の仕組みについて説明を受け、「給食は日本に大変特徴的な教育活動である」との感想を述べられました。
給食配膳を体験する様子
給食の様子
給食の後片付の様子
給食後には、清掃活動も見学しました。清掃を通じて、協働する力や公共の場を大切にする意識が育まれていることが紹介されました。
質疑応答では、外国につながりのある児童数や多様性に関すること、保護者との関わりについて質問がありました。細井副校長から、外国につながりのある児童の人数は年々増加しており滞在していた国も多様化していること、日本語や漢字、算数について個別のフォローアップを行いつつ、体育や音楽、図工などの体験的な学習は他の児童と共に学ぶ環境を整えることで、多様な児童の学びを支えているとの説明がありました。また、保護者との関わりについても、保護者会や個人面談を定期的に実施しているほか、PTAと協力しながら学校行事などを進めていることが紹介されました。
サンティアゴ課長は今回の訪問を通じて、日本の学校が多様化する教育環境の中でどのように「知・徳・体」をバランスよく育む教育を実践しているかを、授業見学や児童との交流、学校生活の体験を通して理解を深めました。EDU-Portニッポンは、海外からの教育関係者の訪日の機会を捉え、今後も日本型教育の取組を海外に発信していきます。
注1) 国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム(https://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/)
注2) ユネスコの理念を学校現場で実践するために発足したASPnet (Associated Schools Network)への加盟が承認された学校(https://www.unesco-school.mext.go.jp/about-unesco-school/aspnet/)
注3) 手の平にはめたスポンジやダンボールのラケットで、スポンジのボールを打ち合うゲーム(https://www.jta-tennis.or.jp/teni_ping/about/)







