実践研究福井ラウンドテーブル2019 Summer Sessionに参加しました(2018年度公認プロジェクト:国立大学法人福井大学)

2019年7月11日

国立大学法人福井大学が実施している2018年度EDU-Portニッポン公認プロジェクト「『福井型教育の日本から世界への展開』アフリカ・中東・日本の教師教育コラボレーション事業」の取り組みの一環として、2019年6月21日(金)から23日(日)に開催された「実践研究福井ラウンドテーブル2019 Summer Session」にて、国際的な実践交流が行われました。福井大学文京キャンパスで行われた同イベントに、EDU-Portニッポン事務局メンバーも参加してきました。
ラウンドテーブルとは、地域も職種も異なる実践者・実践研究者が集い、小グループに分かれてテーブルを囲み、5時間近く互いの実践の報告に耳を傾ける実践交流の場です。今回で第37回目と歴史のあるラウンドテーブルですが、2017年にアフリカからの教員が参加し、国際的な実践交流が行われるようになってから今回で6回目となります。3日間の実践研究福井ラウンドテーブルは、1日目:プレセッション、2日目:ポスターセッション、テーマ別シンポジウム・フォーラム、3日目:ラウンドテーブルという内容で構成され、各地区の小学校、中学校、高校、民間企業、全国の各大学から470名を超える参加がありました。
今回の実践研究福井ラウンドテーブル開催に併せ、マラウイからはオースティン・モヨ氏、ウガンダからオーマ・ベティ氏が来日しました。彼らは、2017年11月に福井大学にて3週間の研修を受け、自国にて教師の学びのための専門職学習コミュニティ・ネットワーク作りに取り組んでいます。モヨ氏は、2018年10月にEDU-Portニッポンのパイロット事業としてマラウイにて実施されたアフリカラウンドテーブル※において、自身の実践を報告し、意味づけ、省察するとともに、同年12月に地域の教員と協働でラウンドテーブルを企画・運営しました。また、ウガンダで教師を勤めるベティ氏は自国においてラウンドテーブルを実施すべく、現在準備を進めています。社会文化的背景や進捗状況の異なる2つの国の実践や日本からの参加者の実践を報告し、互いに意味づけ、今後の展望を探るために、今回の実践研究福井ラウンドテーブルに参加しました。

※参考:https://www.eduport.mext.go.jp/update/2019/03/10inset2018.html

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写真1:テーマ別フォーラムの様子

2日目となる6月22日(土)のテーマ別フォーラムの1つのテーマにおいて、マラウイのモヨ氏が「Lesson Study beyond Classroom: An Impact of Fukui Roundtable(教室を出た授業研究:福井ラウンドテーブルのインパクト)」というタイトルで、生徒達とラウンドテーブルを通じて始めたプラスチックごみ削減のための取り組みが、コミュニティ全体に広がった経験を発表しました。

モヨ氏が理科教師として勤めるロヲラ・イエズス中学校では、毎年慈善事業を通じて学びを得るプロジェクトを実施しています。2019年はモヨ氏の発案により生徒たちには「環境にまつわる事業」という大きなテーマだけが与えられ、具体的な活動は生徒達が決めることになりました。生徒達が活発に議論し、「プラスチックごみ」が地域の大きな問題だということで意見が一致し、「プラスチックごみの危険性をメッセージとして地域に伝える」という活動が決まりました。学校の教師達もラウンドテーブルにより具体的な生徒の支援の方法を取り決め、生徒達は3月から3週間、自分の住む地域での啓発活動や清掃に取り組みました。経費も限られた中での活動ではありましたが、ある地域住民からはごみ箱の寄付が寄せられ、交通警備員は通行車を止め生徒達の活動を支援してくれるなど、コミュニティ内での思いもよらない反応に出会えることもあり、生徒達の大きな自信となりました。
最後に、モヨ氏は、授業研究は教室内だけではなく教室外にも目を向けるべきであること、また、ラウンドテーブルを通じて個々の教員のグッドプラクティスを共有し話し合うことで指導力を高めることが可能である、と結論づけました。

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写真2:オースティン・モヨ氏(マラウイ)

3日目となる23日(日)には、互いの実践の報告に耳を傾けるラウンドテーブルが行われました。モヨ氏、ベティ氏は、マラウイ、ウガンダ、フィリピン、グアテマラ、ミャンマー、カナダ、日本など多様な国出身の参加者がいるグループで、それぞれの活動や悩み、発見したことを共有し合いました。参加者は、お互いの話に真剣に耳を傾け、時間が足りないほど活発な話し合いが行われました。

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写真3:ラウンドテーブルの様子

ラウンドテーブルの魅力について、モヨ氏とベティ氏に尋ねてみました。
モヨ氏からは、現職教師研修で実践したラウンドテーブルをきっかけに、その後の教員研修にも導入されるなど、研修のあり方を変えたことに非常に大きな感動を覚えたそうです。これまで、現職の先生方が自分の体験を他人に語ることは、あまりありませんでした。話すことで自分の日々の教師としての悩みが他人とも共有できること、話すだけでお互いの努力や面白い活動を知り、たくさん励まされること、話す度に異なる考え方や発想に触れることができるのが魅力だと言います。また、ラウンドテーブルは活用次第で、コミュニティそのものを変える力を持つ素晴らしい取り組みであるとも感じているそうです。
ベティ氏は、ラウンドテーブルはまさに「発見/ディスカバリー」だと答えました。ラウンドテーブルを通じて、自分と同じような悩みを参加者も共通して持っていることを知ったり、たくさんの新しい教育手法や考え方だけでなく、自分の考え方にさえ、新しい発見があったりすることに一番魅力を感じているとのことです。

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写真4:オーマ・ベティ氏(ウガンダ)

3日にわたる実践研究福井ラウンドテーブルは大盛況のうちに終わりました。近年、ラウンドテーブルに関心を寄せる人が増え、ザンビア、ガーナ、ルワンダからも問い合わせが届くようになったほか、アムステルダムで開催される世界授業研究学会において、ラウンドテーブルの実践事例を紹介する予定です。「福井型教育」発のラウンドテーブルは、それぞれの国で形を変え、進化を遂げながら世界に向けてますます広がりを見せています。これからの活動に、大きな期待が寄せられます。

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