スリランカでコロナ禍でのデジタル教育について紹介するセミナー開催(2018年度・2020年度公認プロジェクト: 株式会社すららネット)

スリランカでは、新型コロナウイルス感染症により休校期間が長期にわたり、学習の遅れなど様々な課題が挙げられています。コロナ禍での教育の課題とデジタルテクノロジー活用の意義について紹介するため、すららネットではパートナー企業のNext Learnersと共に、 “How school can overcome a turning point under COVID-19 era”と題したセミナーを2021年9月4日に開催しました。

セミナーに先立って、スリランカの公立・私立学校の教員に対してアンケート調査を実施(回答者:178名)しました。アンケートからは、集合型のオンライン授業が中心となる中で、教育の質が懸念され、特に、生徒の理解を確認しモチベーションを保つこと、適切な進捗確認や評価をすること、課題を持つ生徒へ支援することの3点で課題を抱えていることが明らかになりました。

セミナー当日は、まず、スリランカの国立教育研究所の所長であるAshoka De Silva氏より、学校の閉鎖によって引き起こされた幅広い問題と、家庭学習を支援するための様々な公的イニシアチブについて説明しました。

次に、ワラパネ地区教育事務所の教育アシスタントディレクターであるSugath Rajapakse氏より、現在の教育課題、特に適切な子供の学力評価のためにテクノロジーをどのように利用できるかを発表しました。

その後、スリランカ、インドネシア、日本の講演者から、eラーニングを使った実践が紹介されました。スリランカからは、Kids Math Lab Gampaha代表取締役のAruna Kumara氏が登壇し、eラーニングシステムのデータを活用した塾の運営について紹介しました。オンラインでの集団授業が続き、個々の生徒の習得度に対して課題意識が高まる中、Kids Math Lab Gampahaでは、学習時の正答率や回答時間などの学習データを活用して個々の生徒に注意を向け、学力を伸長させています。インドネシアからは、私立小学校の Alfa Centauriの教員であるHira Sopiyani氏が登壇。生徒の学習状況をデータで確認し、学習内容を個別の生徒の状況にあわせると共に、一定の進捗をした生徒を表彰したり、学習が遅れている生徒には個別に支援したりするなど工夫することによって、生徒の学習意欲を高めています。最後に、泰日協会学校バンコク校(バンコク日本人学校)小学部第2職員室教務主任の佐藤 有氏が生徒の力を伸ばすため、オンデマンドとリアルタイムの2つの方法を工夫して組み合わせた取組を共有しました。休校期間の最初は、生徒が各自のペースで学習できるオンデマンド型を中心とし、端末が各生徒に行き届いた2021年からはリアルタイム型が中心となるように変化。生徒の発達段階も考慮し、低学年は簡単なPC操作でできるよう工夫し、学年が上がるにつれて生徒が課題を選択したり、オンラインで他の生徒と交流できる機会を作ったりするなどしています。

(写真左から)
スリランカ・国立教育研究所 所長 Ashoka De Silva氏
私立小学校Alfa Centauri 教員 Hira Sopiyani氏
泰日協会学校バンコク校(バンコク日本人学校) 小学部第2職員室教務主任 佐藤 有氏

オンラインで開催された本セミナーには、スリランカ全土様々な地域から公立校28校より43名、私立校25校より52名、合計95名が参加し、遠隔教育で直面している問題の解決策や将来の教育に関する新しいアイデアに理解を深めていました。イベント後には「今まさに知りたい情報を知ることができた」「日本やインドネシアなど海外の状況を知ることができる貴重な機会となった」など感想が寄せられました。

休校期間中に学びの進捗の差も広がり、今後、学びの遅れを取り戻すために、これまで以上に個別化した教育が求められます。すららネットでは、引き続き、e-learningの普及を通じて、スリランカでの教育の質を向上させ、子どもたちの学力の伸長に貢献することを目指していきます。

 

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