「日本型の食育・健康教育を起点に、健康・福祉の向上と文化・マナーの理解を通して、社会課題の解消を実現」(2018年度公認プロジェクト:Z会グループ)

2019年11月19日

Z会グループは、2018年度Edu-Portニッポン公認プロジェクトの取り組みの一環として、2018年度から引き続き、「食育」をテーマとした活動を継続しております。

ベトナムでは都市部の子供の肥満が社会問題になっており、その背景に保護者が正しい栄養に関する指導を受けてきた経験が少ないこと、都市部の発展とともに豊かさも増す中、子供たちに「食べたい時に、食べたいものを、食べたいだけ」いう家庭が多いことなどがあるとされています。

そこでZ会グル―プは、食育の知見を持つ「スマートキッズ株式会社」、ベトナムの現地法人「栄光ベトナム」、さらに日本とベトナムの栄養の専門家がそれぞれ連携し、2018年度から「日本型の"食育"指導」を現地で展開しています。具体的には対話的な学びと体験的な学習を織り交ぜた授業を設計。授業内では学習課題とまとめを提示し、復唱させることで振り返りを意識化させる工夫をしました。内容としては、2018年度は「野菜の重要性」や「栄養バランス」の2授業を展開、「調理実習」も実施いたしました。

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現地の学校で「調理実習」を実施している様子(2018年度)

今年度は「最大の肥満の要因は"間食"ではないか」という仮説に基づき、現地の「おやつ事情」の調査からスタート。すると、バインミー(ベトナムのサンドイッチ)やフォー(米麺のスープヌードル)など「それはおやつというより食事では...?」という食べ方をしている子供、お迎えに来た保護者のバイクに乗りながらお菓子を食べている子供など、衝撃のシーンが...。

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お迎えに来た保護者がお菓子を買う典型的な学校周辺の「お店」。外にも、パンやバインミーなどを売る「屋台」のようなお店もよく学校周辺に展開されている。

そこで本年度は、「間食」として許容される量が1日100-200kcal(1日に必要なエネルギーの10%程度が目安)であり、カロリーはパッケージの表示を見ればわかること、表示がない場合は「手測り」で食べる量を調整すれば概ね把握できることなどを、授業で「体験」してもらいながら感覚的に知ってもらいました。

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1日に食べても良い量はだいたい片手に乗る程度という「手測り」を実施している様子

また、ポテトチップスを手測りで計測し、1回の分量を把握したら、それを袋に詰めて家庭に持ち帰ってもらうことや、ワークシートに保護者の記入欄を設け、家庭と学校の交流や、家庭の意識改革を促す工夫も盛り込みました。

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机間巡視しながら生徒同士の議論に耳を傾ける齊藤栄養教諭(日本側の専門家)

ベトナムにおいても食に関する知識を学ぶ機会はあるにはあるのですが、基本が1クラス45名以上の大人数で、一方通行の一斉授業が主流。教科書や教材は白黒で、文字が多い。日本の小学校のように、グループで考えたり、体験的な要素を取り入れたり、カラフルな教科書を使用した指導が非常に少ない状況です。そこで本事業では「アクティブ・ラーニング」な授業を意識的に展開し、現地からは「非常に印象に残りやすく、家庭でも話題になるだろう」と高く評価されています。日本でも度々言われる「一斉授業」だけではない指導の重要性をベトナムで再認識することとなりました。また、日本の「家庭科」の教科書や文科省から展開されている教材(食生活学習教材(小学校高学年用)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/eiyou/06050810/001.pdf 等)を現地の専門家にも見ていただいたところ、そのクオリティや分かりやすさについて非常に高評価を得られ、改めて「日本型の学び」が世界に通用するものであることが窺えました。

ベトナムの子供の学びたい意欲は総じて高く、私たちが学校を訪問すると日本語や英語でコミュニケーションをとろうとする児童たちにあっという間に囲まれます。こうした子供たちがより健康的に学べる環境を現地と寄り添いながら提供したい、という想いを新たにしています。

学校での指導に加え、「食育」については保護者の巻き込みが重要になります。そこで、保護者が日常的に振れている情報手段がSNS等であることから、本年度事業にて保護者向けの動画教材なども制作したいとも考えています。残りの実証期間との兼ね合いはありますが、保護者の理解促進は非常に重要なテーマですので、ぜひとも取り組んでいきたいと思います。

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