カメルーン共和国における教材研究に基づく日本型授業研究の初等中等学校への普及促進事業(2018年度応援プロジェクト:国立大学法人鳴門教育大学)

2020年02月13日

【プロジェクトの背景や今までの活動紹介】
鳴門教育大学は1999年に南アフリカ共和国でのプロジェクトに参画して以来、短期専門家の派遣や研修員の受入等を継続的に実施しています。これまでに1,000名を超えるJICAの研修員を受け入れており、そのうち29名がカメルーンから参加し、本学で学びました。

カメルーンでは、これらのJICA帰国研修員が中心となって、*コンピテンシー に基づくカリキュラム導入を図るため、初中等のパイロット校において理数科を対象とした授業研究が試行されています。

*コンピテンシー:単なる知識や能力だけではなく、技能や態度をも含む様々な心理的・社会的なリソースを活用して、特定の文脈の中で複雑な要求(課題)に対応することができる力。

このような背景の中、本学の事業が2018年度EDU-Portニッポン応援プロジェクトとして採択されました。本事業では、日本で実践されて効果をあげている「教員同士の学び合いを促進する授業研究」の取り組みを定着させ、それを深化させていくための支援を通じて、カメルーンの子どもの学びの改善を目指しています。日本の知見が蓄積され、世界的にも評価の高い「理数科教育」を主な対象としています。

また、国内における教育の国際化を図るため、様々な機会を捉えて、現職教員や国際教育協力関係者に対し本事業の内容を共有しています。

【今年度の活動の具体例と成果】
まず国内においては、8月に実施された徳島県内の現職教員研修および10月に実施された免許更新講習の際に、参加された方々に本事業について紹介し、日本の教育の国際化を促進しました。

カメルーンにおいては、2019年10月29日~11月5日に初中等視学官らとともにヤウンデ市のパイロット校を訪れ、教材研究に基づく授業研究後の研究授業および授業検討会を参観しました。また、実際の児童・生徒に対する理数科授業の質向上のモニタリングを行いました。訪問した学校数は初等学校3校、中等学校2校で、合計100人弱の視学官・教員指導者・教員が参加しました。

初中等学校の教員たちは研究授業をグループで計画したのち、研究授業に臨んでいました。研究授業はカメルーンのカリキュラムに従った内容に、JICA帰国研修員が日本で学んだ板書計画や授業構成といった教授法の要素を反映させたものでした。教室での学習を日常生活に応用することを企図し、多くの授業で日常生活に即した問題設定・解決が行われていました。授業検討会においても熱心な意見交換が行われました。最後に視学官を通じて教員に対し助言を行い、授業研究の質向上を支援しました。

今年度は、2020年2月15日~22日に再びヤウンデを訪れる予定です。

【日本人自身が気付かない日本の教育の良さや、逆にカメルーンから学んだこと】
日本では子どもたちは全員カリキュラムに即した教科書を配布されており、教員も教科書や指導書さらにさまざまな参考書をもとに授業を計画しています。教科書の通りに教授・学習することで生徒中心型の授業が実施される仕組みになっています。

一方カメルーンではカリキュラムが変わっても教科書はそれに追いついておらず、教員は旧来の教科書をもとに何とか授業を計画しており、日本で当たり前に行われている教科書改訂・義務教育での無料配布の素晴らしさを改めて実感しています。

カメルーンを訪れて感じたことは、子どもたちの学習意欲の強さです。一つの教室に多い場合は100名以上が詰め込まれ、教科書や教材も不足している中、学習に集中している姿には感動しました。このような子どもたちの学習意欲に応えるためにも教材研究に基づく授業研究によってより良い授業へと改善していくことの重要性を改めて感じました。

【今後の抱負や他国への展開の可能性等】
カメルーンでは、授業研究をヤウンデ市内のパイロット校からカメルーン全土に展開しようとしており、これはJICA帰国研修員たちのリーダーシップと努力のたまものです。

本学としては、引き続きカメルーンの帰国研修員達の取り組みに寄り添い、定期的に現地を訪問しながら、支援を行っていく予定です。 同国関係省庁との協力協定締結も視野に入れつつ、同国の子どもたちのための質の高い教育の実現に向けた協力の可能性を追求していきたいと考えています。

また本件を含めた教員教育の国際協力に関する知見の蓄積をすすめ、本学が関わる国際協力事業、教育活動に確実にフィードバックするよう努めていく所存です。

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初等学校での研究授業

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中等学校での研究授業

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授業検討会

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ノート代わりのミニ黒板

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