トピックセミナー(特別活動)

トピックセミナー(特別活動)~グローバル共生社会で生きる力を育む学校教育とは~

令和4年8月8日(月)、トピックセミナー(特別活動)をオンラインで開催いたしました。
今回のセミナーでは、昨今、諸外国から注目が集まる「特別活動」のねらい、内容やその位置づけ、海外での実践事例について、3名の講師からそれぞれの視点でご講演いただきました。

なお当日は、80名以上の方がご参加くださいました。心よりお礼申し上げます。

プログラム

時間内容講師
13:30~13:35開会あいさつ
-EDU-Portニッポンの紹介
文部科学省
大臣官房国際課
13:35~13:55共生社会で生きて働く力を育む「特別活動」文部科学省初等中等教育局 視学官
/ 教育課程課 教科調査官
国立教育政策研究所 教育課程調査官
/ 生徒指導・特別活動連携推進官
安部 恭子氏
13:55~14:15中東・北アフリカで注目される特別活動
~エジプトでの成果と課題、そして世界展開に向けて~
株式会社パデコ
教育開発部 シニアコンサルタント
瀬戸口 暢浩氏
14:15~14:35運動会が子どもたちの未来をつくる
〜非認知能力を育む究極のチームスポーツ〜
NPO法人ジャパンスポーツコミュニケーションズ
代表理事
米司 隆明氏
14:35~14:55パネルディスカッション全ご登壇者
14:55~15:00閉会挨拶

チラシ

こちらからダウンロードできます。ダウンロード

講演資料

こちらからダウンロードできます。

1. 共生社会で生きて働く力を育む「特別活動」 (文部科学省 初等中等教育局)

2. 中東・北アフリカで注目される特別活動 (株式会社パデコ)

3. 運動会が子どもたちの未来をつくる (NPO法人ジャパンスポーツコミュニケーションズ)
 

開催報告

■共生社会で生きて働く力を育む「特別活動」
   安部 恭子氏
   <文部科学省初等中等教育局 視学官/教育課程課 教科調査官、
   国立教育政策研究所 教育課程調査官/生徒指導・特別活動連携推進官>

特別活動を通じて育まれる資質・能力、学級活動の指導及び学級経営の充実等について、具体例も交えながらご説明くださいました。

(概要)
今般の学習指導要領は、2030年の社会を見据え、未知のことにも対応でき、自らよりよい生活や人間関係を築き、自己実現を図る力を子供たちに育むことを目指して改訂されました。学習指導要領前文には、これからの時代を生きる子供たちに身に付けさせたい資質・能力として、「自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓き,持続可能な社会の創り手となることができるようにすること」が示されています。
特別活動は、集団や社会の形成者としての見方・考え方を働かせて、実生活や実社会で活用できる汎用的な力を育むものであり、特別活動で育成すべき資質・能力の視点は、「人間関係形成(違いを認め合い、みんなと共に生きていく力)」、「社会参画(よりよい集団や社会をつくろうとする力)」、「自己実現(なりたい自分に向けて前向きにがんばる力)」です。他者の意見を尊重し、多様な意見のよさを生かしてよりよく合意形成を図るなど、学級活動における自発的、自治的な活動の充実が、学級経営の充実にもつながり、「学びに向かう学習集団の形成」につながります。
東日本大震災時に、子供たちが自分たちにできることを主体的に考え、話し合い、協力し合って実践した事例のように、特別活動の豊かな実践により、共生社会でよりよく生きる力を育むことができるのです。


 

■中東・北アフリカで注目される特別活動 ~エジプトでの成果と課題、そして世界展開に向けて~
   瀬戸口 暢浩氏 <株式会社パデコ 教育開発部 シニアコンサルタント>

中東・北アフリカにおける特別活動への関心の高まりや、エジプトでの特別活動導入事例についてご紹介くださいました。

(概要)
中東・北アフリカ地域における特別活動への関心の高まりの背景には、知識重視の教育を見直し、「何を学ぶのか」から「どのような資質・能力を育成するのか」という問題意識への転換があります。エジプトでは、特別活動の様々な活動のうち、話し合い活動(学級会、学級指導)、日直が中心的に導入されています。2018年に新しい教育制度へ移行後、60校のモデル実践校が形成され、今後はエジプト全土約2万校の小学校への特別活動の導入が目指されています。特別活動の導入により、児童にどのような変化が生じたのかを把握するために実施した保護者・教員向けのアンケート調査では、児童の非認知能力の向上につながったという結果が出ました。

 

■運動会が子どもたちの未来をつくる 〜非認知能力を育む究極のチームスポーツ〜
   米司 隆明氏 <NPO法人ジャパンスポーツコミュニケーションズ 代表理事>

7か国(タイ、ラオス、インド、マラウイ、ルワンダ、グアテマラ、米国)において運動会を紹介した経験から、運動会の持つ意義や子どもの成長に与える影響についてお話しくださいました。

(概要)
運動会では、参加者は国籍や宗教、年齢、性別の違い、貧富の差などを多様性として受入れ、互いに手を取り合い、共通の目的に向かって協力して活動します。運動会を通じて、参加者に共感力、チームワーク、自己肯定感等が育まれることが期待できます。また、健康増進・身体能力向上のみならず、非認知能力の向上に寄与する点においても運動会には教育的価値があると考えています。

 

セミナーの事後アンケートでは、「3人の先生のそれぞれの立場からお話が聞けて大変勉強になりました」「講演者の皆さんの参加者に伝えたい、という本気度が伝わってきた」というコメントの他、「特別活動が海外でも採用されていたり、海外でモデル校を作ろうという動きがあったりすることを、初めて知りました」「なぜ特別活動が海外から注目されているのかが少しわかった」等のコメントも寄せられました。

EDU-Portニッポンでは、今後も特別活動における日本型教育の海外展開に注目してまいります。

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